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在宅を取れる医院は強い。

目次

在宅患者さんを獲得する難しさ

在宅を取れる医院は強い。 
これは創業当初からずっと、yui の訪問歯科の訴求活動のテーマでした。
屋号に「在宅歯科サービス」と付けているのは、とりもなおさず在宅の患者さんに寄り添いたいという思いからです。

訪問歯科の一番難しいところは、患者さんと1対1のコミュニケーションで完結する外来の診療とは異なり、患者さんだけでなく、ご家族、訪問先施設の職員さん、担当ケアマネージャーさんなど、あらゆる方向に目を向けながら対応する必要があることだと思います。
特に訪問先が施設である場合にはご家族との意思疎通が図りにくく、コミュニケーションを取らなければならない対象も増え、施設の方針に振り回されることもあったりと、診療以外の手間や面倒も増えがちで、対応に一層の配慮が必要になるのです。

そういう意味では、ご家族とも直接お会いして状況やご意向をおうかがいしながらじっくり治療を進められることが多い在宅の患者さんの診療では、より患者さんやご家族の思いに寄り添いながら訪問歯科を提供できる良さがあると感じるのです。
さらに、患者さんや周囲の方との間に要らぬ誤解や不協和が生じてしまう心配が少なく、在宅の診療では必ず訪問診療1を算定できることなどは経営的な面からもプラスですし、施設患者さんのボリュームが大きいと、コロナのような不測の事態などで往診が休止になるなどの影響があった場合に1件の訪問先の休止が経営に与えるインパクトが大きくなってしまいがちです。

そういった理由から、在宅の患者さんを多く診れることは、患家移動の非効率というデメリットを補うほどのメリットがあると思うのです。

ですが、

在宅の患者さんを集めることは容易ではありません。
施設を獲得するよりも圧倒的に難しいと、私は感じています。

在宅に限らずとも、どう患者さんを獲得するか、どう営業活動を行うか
これは、訪問歯科を始めようとしている歯科医院にとって、もっとも大きな課題だと思います。

施設に対しての営業活動については、飛び込みの営業なりダイレクトメールなりのシンプルな方法でも何かしらの成果は出るでしょう。現状の歯科医療体制に不満を抱えている施設もあるはずですから。

しかし在宅の患者さんを獲得していくのはそう単純ではありません。
よくある手法として思いつかれるのは、ケアマネージャーさんに対して訴求するために、居宅介護支援事業所へのあいさつ回り(営業活動)を行うことだと思われます。

これはうちでは一切やっていません。なぜか?



その前に、yui の在宅患者さんの新規受診申し込みの内訳を見てみましょう。

yui の在宅患者さんの新規受診申し込みの内訳

詳細にデータを取ったわけではありませんが、yui の在宅患者さんの新規受診申し込みの内訳は以下のようになっています。

1.ケアマネさんなどの介護事業者関連職種からのご紹介 <5割ほど>
2.ホームページからのご依頼 <4割ほど>
3.既存患者さんからのご紹介 <たまに>
4.他医療機関からのご紹介 <たまに>
5.院内患者さんからのご依頼 <たまに>
6.訪問車のステッカーを見てのご依頼 <ごく稀>


こんなところでしょうか。

意外と訪問車を見て声かけてくれる方もいたりするので、車の訴求広告もバカにできなかったりします 笑
手前味噌ですが、車を見て yui のロゴが可愛いっておっしゃってくれる方もいます。

すいません、話がそれました 汗


この内訳をご覧いただくと、介護事業者関連職種からのご紹介に加えて、ホームページからのご依頼も大きな柱だとわかるかと思います。

ですが、注意していただきたいのは、この内訳は創業から10年以上経過した yui の現在の状況であるという点です。
では、事業開始間もない頃ではどうだったかと言えば、、、

1.ホームページからのご依頼 <9割>
2.その他 <1割>


あくまで yui の場合ですが、このような内訳で(新規申し込み数自体、今とは比べようもなく少ないものでしたが)、介護事業者関連職種からの紹介はほとんど得られなかったのです。

悲しいほどに、打てど響かない

創業し、事業を始めて間もないころ、居宅介護支援事業所へのあいさつ回り(営業活動)をやってみた時期がありました。

私自身が起業前にも訪問歯科での営業経験もあったので、あいさつ回りをすればある程度の受診依頼はすぐに得られるはずだと甘く考えていました。

ですが、

歯科医院

「こんにちは、在宅歯科サービス yui です」
「こうこうこういう形で訪問歯科をやっています」

ケアマネさん

「え!?ちょうど今、お願いしたいひとがいるんです!」

というミラクルにはならないですよね 笑

要するに、ケアマネさんにとって利用者さんの歯科受診先がないという課題はほとんどの場合喫緊の問題ではないわけです。
なので、「担当の利用者さんでもし困った方がいらっしゃれば」という常套句を毎度毎度口にして帰ってくることになり、いざ困った方が出て訪問歯科とのかかわりが必要になったととしてももうこちらのことなんか覚えてません。よくて訪問歯科の営業が来たなぁくらい。

事業所の場所を調べ、車で時間をかけて1件づつ回る。
相当気合を入れて回っても1日20件がせいぜい。
にもかかわらず、電話はほとんど鳴らないという状況。
ということで前項にも書いた通り、事業開始間もない時期はケアマネさんからの紹介が思うように増えませんでした。

もちろん、すぐさまの受診依頼を期待して行くわけではなく、ケアマネさんとの良好な関係性を築くための布石として、記憶に留めておいていただいたりパンフレットなどを受け取ってもらったりということに意義を見い出せるという考えもあると思います。

ですが、やればやるほど私の中に巣食ってきたのはこんなもやもやとした思いでした。
「このあいさつ回りって、こちら側のエゴだよね」と。
つまり、結局は相手のお仕事を止めてこちらの話を聞かせるわけで、逆の立場を想像するにつけ、相手の貴重な時間を奪う罪悪感が湧いてすぐにやめてしまいました。
ただ単に相手に何かを期待して足を運ぶのであれば何もしない方がマシです。

意味がまったくないとは言えませんが、訪問歯科を行う歯科医院が増えた群雄割拠のこのご時世、情報の獲得が容易になったこのご時世に、果たしてそれだけの時間と労力をかけるだけの意味があるのだろうか?と、私は思います。

だからといって手っ取り早くケアマネさんからの紹介を増やす方法なんてありません。
そのアプローチは、悲しいほどに打てど響かない営業活動なのです。



では、どうやってケアマネさんからの紹介を増やすことができるのでしょうか?

ケアマネさんからの紹介を増やすには

結論から書きましょう。
「地道に信頼を得ていく」
やはりこのことが最高にして最大の営業活動なのです。

歯科医師、スタッフで協力して患者さんに喜んでいただける診療を提供すること
直接的にケアマネさんとかかわることがないとしても、患者さんの背後にいらっしゃるケアマネさんに受診している歯科のことはよくも悪くも伝わるもの。やはりいい治療をするということはケアマネさんへの大きなアピールになるはずです。

これだけであれば身も蓋もない結論です。


弊社は直接的な営業活動を行っていないにもかかわらず、訪問先の7割ほどは在宅の患者さんで、懇意にしていただいているケアマネさんも少なくありません。
そこまでの状況にできたのは、先生やスタッフが努力していい診療を提供してきてくれたのはもちろんですが、、、

多くのケアマネさんと接点を持つことと、その接点を最大限活用すること。

このことを大事にしてきたからだと考えています。

いえ、難しいことではないのです、直接的な営業をしなくても接点は得られます。
ケアマネさんからいただいた紹介はもちろんですが、ケアマネさん経由でない申し込みの患者さんであっても介護保険を利用している方であれば担当のケアマネさんとの接点がそこで生まれることになります。受診依頼が増えるとともにケアマネさんとの接点も増えていくはずです。

そしてその接点を最大限活用していくこと。
接点のできたケアマネさんにわざわざ会いにうかがう必要なんてありません。大事なのは適切な内容と適切なタイミングで報告や相談や情報提供を行うこと。電話・FAX・メールを活用して下さい。それもできるだけ多くです。つまりはそれが繰り返されることでケアマネさんに対する医院のすり込みになりうるのです。
ただし、できるだけ多くと書きましたが、その報告や相談や情報提供があくまでケアマネさんにとって必要なものである(相手にとって邪魔でない)ということは大前提です。

たとえば弊社では、

介護保険を利用している方であればケアマネさんに情報提供書をFAXでお送りしますが、本来情報提供書は歯科医師分の算定上限の月2回提供すればいいわけですが、あえて診療ごとに毎回お送りしています(治療内容報告を兼ねています)。さらに情報提供書下部に訪問歯科の訴求広告が印字されるようにしていて(独自の訪問診療管理システム上でのFAX送信時に自動的に付加されるようにしています)、できる限りケアマネさんの目に触れるように工夫しています。

初診時には、居宅療養管理指導の案内文も郵送でお送りしています。
特に、居宅療養管理指導をケアプランに含めるのか含めないのかなどのことはたまにケアマネさんから質問を受けたりするので、そのあたりの説明も案内文に含めています。
(居宅療養管理指導については、マイナーな介護サービスであるためケアマネさんでも知識が少ない方もおられるので、しっかり勉強して質問や相談に対応できるようにしておくことはケアマネさんからの信頼を得る一助になるはずです)

ケアマネさんからいただいた紹介に対して、その後の日時などの打ち合わせはご家族やご本人と行うことが多いかと思いますが、その結果は求められずともFAXなどで必ず報告するようにしています。
合わせて対応のスピードは重要です。すぐに訪問できないとしても、早急に家族に連絡してその結果を報告しておくなどすればいいアピールになるはずです。

そのほかにも患者さんの診療について、問題や課題があれば折に触れて相談するようにしています。
患者さんをよく知るケアマネさんから有用な情報が得られることも多いです。

いずれにしろ、ケアマネさんと良好な関係性を築き、何度も紹介をいただけるまでに持って行くのはかなり地道な道のりですが、、、
どの取り組みもいたって地味なもので、圧倒的に簡単です。

yui では、このやり方の積み重ねで在宅の患者さんを増やしてきました。
今では、営業活動などしなくても待っているだけで依頼が絶えない状況です。
在宅に関して言えば、高い人件費をかけて実地営業を行って訴求活動をしたとしてもおそらくこのような地味な方法で訴求を行って獲得できる患者数と大差ないはずです(繰り返しますが、営業すれば在宅患者さんは増える!という単純なものではないのです)。
ならば思いませんか?不要なコストがかからないやり方のほうがいいと。

資源をもっとも投入すべきこと

ここまで書いてきた通り、在宅の患者さんを獲得するのは一筋縄ではいかず、時間もかかること。
営業担当という人的資源を投入しても、おそらく簡単には増えないはずです(施設をどんどん獲得したいというなら別ですが)

訪問歯科を始めて人や設備を整えた医院としては、やはり早く患者さんを増やして軌道に乗せたいもの。
ある程度早いレスポンスを期待するのであれば、やはり充実したホームページは欠かせません。
ケアマネさんなど介護事業者とのつながりがなくても患者さんから直接の依頼が期待できますし、弊社のように、ゆくゆくはケアマネさん経由の紹介と合わせ、両輪での患者さん獲得チャネルに育てば、営業活動などせずに待っていても依頼が入るようになるかもしれません。
在宅の患者さんを獲得するという目的についていえば、資源をもっとも投入すべきことはホームページであると私は思います。

口の中の問題で困った!となってご家族が取られる行動は、がんばって歯医者に連れていくか、ケアマネさんに相談するか、ホームページで情報を得るか、なのです。
特にケアマネさんとのつながりがない時期に頼れるのは圧倒的にホームページです。先記の yui の在宅患者さんの新規受診申し込みの内訳を見てもらうとわかるのですが、ケアマネさんとのつながりはなかった事業開始間もない時期にはホームページ経由の依頼が9割で、ケアマネさんとのつながりが十分増えた今でも4割ほどはあります。どれだけホームページに助けられたかわかりません。

もっと言えば、ホームページ経由ではないケアマネさんからの紹介は多いのですが、
依頼をくださるケアマネさんの多くは最初にホームページをご覧いただいて yui のことを知っていただいき何度か紹介をいただけるようになるので、元を正せばほとんどのご依頼はホームページの力があったがゆえだとも言えます。

前項で書いた取り組みも、ケアマネさんとの接点があって初めてできること。
ケアマネさんとの接点を増やしてくれるのも、ホームページなのです。

もともと事業開始時にはお金がなかったため、業者さんに作成や管理をお願いするという選択肢はなく、yui のホームページは開設時からずっと自社で作成管理しています。
ホームページ開設当初の検索順位が低い時期でもそれなりには依頼がありましたが、いつからか「名古屋 訪問歯科」で検索すれば一番上に表示されるようになり、ホームページ経由の依頼も安定的に増えました。
強いホームページを持つことの威力を身をもって体験しました。ホームページがなかったらウチは終わってたなとよく思います。

ただ、開設しても見てもらえないホームページでは意味がありません。
充実したホームページを整備することに加え、検索順位を上位に保つこと(SEO)がもっとも重要です。
おそらく自医院でホームページを作成管理する余裕がある方は少ないと思いますので、業者さんに頼むことになると思います。巷には安くやってくれる業者さんも溢れていますが、必ずしっかりお金はかけてください。
特にSEOをしっかりやってくれる業者さんを選んでください。開設して終わりではなく、記事の変更などにも迅速に対応できるかどうかもポイントです。

もう一度言います。
ホームページにはしっかりお金をかけてください。


ホームページからの依頼には、ケアマネさん経由の依頼とは少し異なる特徴があるので少し書いておきます。

1.患者さんの年齢層の幅が広いこと

ケアマネさんの利用者さんは主に高齢者ですので、ケアマネさん経由の依頼は必然的に高齢者主体になりますが、ホームページからの依頼では介護保険を利用されていない若年の障がいをお持ちの方も多く、子供さんの依頼も増えます。

2.訪問対象者であるか微妙な方の依頼が多いこと

ケアマネさんからの依頼であれば要介護がついている方がほとんどですので大半の方が訪問歯科の対象になるかと思いますが、ホームページからの依頼ではカルテに記載する訪問理由としては弱いご病気の方の依頼がよくあります。たとえばうつ病であったりパニック障害であったり、ときには引きこもりなんていう理由もあったりします。
もちろん当人はお困りであるから依頼してきているわけなので依頼があれば訪問して差し上げたいのですが、泣く泣くおことわりする場合もあったりします。
医院としてどの程度まで許容するかの基準は考えておいた方がいいでしょう。

3.地域が広範囲であること

ホームページは当然見ることのできる地域を限定できませんので、訪問先の地域が広範囲に及びます。ときには範囲外の地域からも問い合わせが来ます。
弊社では16キロ圏内であればどこでも訪問していますが、これも医院としてどの程度の範囲まで訪問するか決めておいた方がいいでしょうし、ホームページにもその旨記載しておくといいと思います。
あと、16キロ圏外であったり、16キロ圏内でも遠方でスケジュールが混みあっているような場合はすぐにおうかがいできず、結果的におことわりする形になるケースもありますが、16キロ界隈に訪問歯科をやっている歯科を見つけて頭に入れておくと、そのようなときに紹介できるので断ってしまうだけにならず、ご依頼くださった方に最低限のお返しができるのかなと思っています。

待っているだけで依頼が絶えない状況に

yui はもう10年近く、一切営業活動は行っていません。
私ひとりで運営し、往診も同行しているため、やろうにもその余裕はありませんが。
それでも新患の依頼は常に絶えず、往診スケジュールはいつもほぼ埋まっている状況です。受診依頼がたてこんだりするときには旧知の先生などにお願いすることもあるほどです。
在宅の比率が大きいですが、施設からの依頼もたまにあります。

これはやはり、患者さんの獲得チャネルが「ケアマネさんからの紹介」と「ホームページからの依頼」の両輪であることが大きいと思っています。
この2つを獲得チャネルとしてうまく育てることができれば、待っているだけで依頼が絶えない状況にすることもできるはずです。高い人件費をかけて営業担当を置く必要もないのです。

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