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何人で?訪問歯科診療の体制を考える

訪問歯科診療の際、歯科医師の他に誰が何人同行するのか?
適切な体制を考えることは、経営的にも重要な課題です。
今回はこれについて少し考えてみましょう。

目次

訪問スタッフの人数

訪問歯科スタッフの適切な人数は、行う診療の内容にもよるでしょうし、在宅が多いか施設が多いかにもよるでしょう。

yui が携わっている歯科往診の場合、2人体制か3人体制で往診していますが、ポータブルユニットやデンタルも携行して口腔ケアや義歯関係はもちろん、外科処置や補綴などにいたるまで対応するので(石膏も訪問先で流します)、形成印象などがある処置であれば在宅でも2人ではややしんどい気もします。
ですが、2人とも往診に慣れていて協力してテキパキと診療をこなせるようであれば2人体制でも十分仕事はこなせると思います(当然歯科医師も準備や片づけにも積極的に加わってもらわないと仕事が進みませんが)。
逆に3人体制で往診していても、歯科医師や歯科衛生士さんがベテランであれば、軽めの処置のときなど3人目は特にすることがなく手持無沙汰になってしまうことも少なくありません。
実際、訪問歯科を行っている歯科医院の話を聞くと、最近では2人体制で訪問している歯科医院が増えてきているように感じます。

まだ歯科往診に慣れないスタッフが多かったり、大勢の患者さんを診ている施設の訪問がそこそこあるのであれば3人体制でいいかもしれません。
施設で患者さんの誘導もこちらでやる必要があるのであればなおさらです。yui では3人体制で施設へ訪問する場合は患者さんの誘導もあえてやらせてもらうようにしています。いちいち職員さんにお願いするよりその方が効率的だからです(もちろんベッドからの移乗などは職員さんにおねがいしますが)。

4人体制はどうでしょう?
たまに4人で訪問しているという歯科医院の話も耳にしますが、これは多すぎるような気がします。
施設ならまだしも、在宅でぞろぞろ4人入ってこられると患者さんのほうがびっくりしそうです。たまに新人スタッフの同行で4人になることがありますが、ぞろぞろ4人で訪問先に入っていくのは引け目を感じてしまいます。それに車内の人口密度が高い(笑)

先生以外の同行者 ①窓口役のスタッフ(コーディネーター・相談員)

ちなみに、yui が携わっている歯科往診の場合。
歯科医師、歯科衛生士、私(訪問診療相談員)の3名体制、あるいは、歯科医師、私(訪問診療相談員)の2名体制のいずれかの体制で往診することが多いです。

yui の場合、歯科診療の申し込みや問い合わせの窓口は私です。申し込みの情報を踏まえてスケジュールを調整して先方に連絡するのも私です。
つまりは患者さんとの窓口役の私が歯科往診にも同行している形ですが、このことが大きなメリットだと感じています。
現場でも窓口役として患者さんや施設職員さんの応対を担うことで先生や衛生士さんたちが治療に専念できますし、患者さん側にとっても診療受付の際にお話ししたスタッフが歯科往診に同行してくれることは安心です。

受付担当者が往診依頼の応対をして往診担当者にその情報を伝達する分業を行っている歯科医院は多いかと思いますが、分業になっていることで直接患者さんの家族や訪問先の職員さんとお話しした内容や空気感のようなものが現場のスタッフに伝わりきらず、患者さんとの間に齟齬や不信を生んだりすることもあります。

そういう意味で、患者さんと直接お話したスタッフが歯科往診にも参加することのメリットは非常に大きいと感じます。

スケジュールについてもそうです。もちろんその日の大まかなスケジュールは各往診スタッフも把握しているとは思いますが、細かい各患者さんの都合などはスケジュールを組み立てたスタッフでないと頭に入っていないはずです。たとえば、この患者さんは予定の時間から〇分遅れると介護サービスとバッティングしてしまうとか、早く到着しすぎるとデイサービスから戻っていないなどの細かな情報を踏まえて訪問の進捗状況に合わせて適切な動きを管理できるのはスケジュールを組み立てたスタッフが同行すればこそです。

医院の環境が許せば、窓口役のコーディネーターや相談員としてスタッフを置くことも考えてみてもいいと思います。
ただしです、窓口役でないただの運転手や雑用係という意味の仕事しかできないコーディネーターや相談員であれば不要です。

先生以外の同行者 ②歯科衛生士

当然歯科衛生士が同行すれば算定できる点数も上がります。
ですので歯科衛生士を同行させたいというのは当然の考えです。
いい歯科診療を提供するために歯科衛生士が同行した方がベターでもあるとも思います。

ですが、
場合によっては歯科衛生士を同行させないという選択肢もありだと思います。

なぜか?


<理由その1> 歯科衛生士の確保が難しい

歯科衛生士を募集してもなかなか応募がないとお困りの歯科医院も多いはず。
なんとか採用になっても定着率が悪く、常に歯科衛生士の確保に頭を悩ませているというのは本当によく聞く話です。
これでは採用コストもかさむばかりで、院長先生も疲弊する一方で、経営に与える影響は少なくありません。
採用活動や定着率アップにかかるお金と労力のコストは、得られるメリットに見合うものなのか懐疑的にさえなってしまいます。
いっそ歯科衛生士の採用活動への注力をやめてしまうのもひとつなのかなと思うのです。

もちろん在宅療養支援歯科診療所の施設基準を満たすために歯科衛生士の在籍は不可欠ですが、必ずしも絶対的に歯科衛生士を同行させるという方針は捨ててもいいのかもしれません。


<理由その2> 歯科衛生士同行で平均点数が上がる

歯科衛生士が同行することで算定できる点数は上がるので、もちろんそれはメリットだとは思いますが、ただでさえ平均点数を押し上げがちな訪問歯科では、平均点数をそれなりに抑える意識も必要です。
そう考えたときに、歯科衛生士を同行させるのが難しい状況があれば、いっそ歯科衛生士の同行にはこだわらないという選択肢もあるでしょう。

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