訪問歯科の始め方 揃えるもの
弊社は愛知県内の提携歯科医院の訪問歯科をサポートしていますが、サポートを開始する段階ではどの歯科医院も本格的には訪問歯科に取り組んでおらず、昼休みや休日に少し訪問に出る程度の実施状況のところがほとんどでした。
ですので、高価な機材から100均で買えるような小物まですべて揃える必要がありました。その都度私が代わりに色々なものを購入することも多かったのです。
それぞれの道具や小物の必要性は、使ってみないとはっきりしない部分もあったので無駄な買い物に終わったものも多かったのですが。
今回は、私の経験も踏まえながら、訪問歯科を始める際に揃えておくべき機材、道具、小物といったものを挙げてみたいと思います。
目次
大きな機材など
訪問歯科を本格的にはじめようとすれば必ず必要な機材として、ポータブルユニット、デンタル、エンジンは不可欠でしょう。
余裕がなければデンタルは後回しでも構わないようには思います。
エンジンは過去弊社のすべての提携医院でナカニシの VIVAMATE を使用してきました。
調子が悪くなったり、故障したりということは記憶にないくらい信頼性は高いと思います。
ユニットは過去にオサダ電機工業のデイジー、日本アイエスケイ(旧キング工業)のかれんEZ、ナカニシの VIVA Q (バキュームユニットのみの製品)などを使用してきました。
訪問歯科用ポータブルユニット(かれんとデイジー) | 往診の作法。
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そして、もうひとつ大きな買い物は訪問車です。
当初は自家用車などで訪問するのもいいと思いますが、やはりゆくゆくは医院の訪問の体制に合った車を選択したいところです。
以下の記事にも書いていますが、「診療に携わるスタッフの人数」「訪問先の数」「訪問先の種類」「対応する治療の幅」といった、歯科医院の訪問歯科の体制や特徴を十分考慮して訪問車を選択することが大切です。
訪問車の選択 | 往診の作法。
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道具類を収納するボックスなど
道具類を収納するボックスなどの大きさや数は、運搬性や作業効率にもかかわってくる非常に重要なファクターです。
ただ入ればいいという考えであっさり購入してしまいがちですが、これも訪問車と同様に「診療に携わるスタッフの人数」「訪問先の数」「訪問先の種類」「対応する治療の幅」といった、歯科医院の訪問歯科の体制や特徴を十分考慮して考えることが大切です。
たとえば、訪問スタッフの人数が少なかったり、女性が多かったりする場合、あるいは訪問先の件数が多い場合(在宅が多い場合)
荷物の運搬の負担ができるだけ軽減されるよう、持っていく道具をできるだけ減らしてボックスの数や大きさもできる限り小さくする工夫が必要でしょう。
肩にかけられるバッグなども併用して荷物を分散させてもいいかもしれません。
訪問先の件数が少ない場合(施設で何名か診療することが多い場合)、あるいは対応する治療の幅が広い場合
件数が少なければ運搬の負担はそれほど考慮しなくてもいいですし、幅広い治療に対応しようとすれば持っていく道具も多くなるので、ボックスの数や大きさもさほど抑える必要はないのかもしれません。
そして何より重要なのが、「どのボックスに何を入れるか」です。
ある程度主要な処置ごとに必要な道具や材料を適切に分けて収納しておかないと、あの箱もこの箱もといくつもボックスを持っていかなくてはならない状況になってしまいますし、現場でもあっちの箱からコレを出し、こっちの箱からはコレを出しという非効率な状況になってしまいます。
↓こちらの記事も参考にしてください。
箱 ~持っていく診療道具の収納~ | 往診の作法。
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最近サポートを開始した提携歯科医院では、私と女性の先生二人での訪問です。
訪問先はほとんど在宅ですので荷物運搬の負担もけっこうあります。
治療も幅広く対応しているので道具や材料も多いですし、ユニットやデンタルはもちろん、印象やバイブレーターまで携行するのですが、そういった状況ですので絶対必要なものは携行しつつも、不要なものは減らし数や量も最低限にするなど、訪問開始当初に先生ともよく相談しながら検討しました。
その結果、大きめのボックス1つと、小さめのボックス2つ、洗濯かご1つでおおむね収めました。
ユニットは軽いかれんであることもあり、どんな処置でも台車なしで2人で運べてしまいます。
台車も用意しようか当初迷いましたが、場所も取りますし当面購入せずに行きましょうということでやってきましたが、結局買わなくて大丈夫でした。
ちなみに小さめのボックスはコレ、ニトリの収納ボックス(Nインボックス)
これに専用の取っ手や蓋も付けて使っています。
小さめでたくさんは入らないですがどうしても軽さにはこだわりたかったので、印象まわりの道具や材料(アルジネート・石膏・バイブレーターなど)、義歯調整関係の道具や材料はそれぞれの収納ボックスにすべて詰め込んでます。
ボックスだけ買ってしまい、絶対これに入るだけのものしか持っていかないと決めて携行するものを選択するという手もアリかもしれません。
小物類
これは書き出したら切りがありませんが、とりあえずあったらいいよというものを思いつくまま列挙してみます。
ケトル
寒天印象を行うのであればおそらく必須だと思いますし、義歯リベースや即重の際などにも重宝します。
ティファールよりもお勧めがありますので下の記事をご覧ください。
神ケトル | 往診の作法。
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延長コード
ユニットやバイブレータなどの使用時に必要かなと思いますが、ユニットがかれんであれば電源コードが結構長いのでなくても済むかもしれません。
訪問先で石膏を流すのであればバイブレータも携行すると思いますが、下に記載するように充電式なら不要です。
バイブレータ
訪問先で石膏を流すのであればバイブレータが必要です。
ただ、歯科用のバイブレータは2キロほどあるので、弊社のかかわる訪問歯科では以下の記事のように充電式のマッサージ用バイブレータを使用しています。
流すのに少々コツが要りますが、よかったら使ってみてください。
バイブレーター問題 | 往診の作法。
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水筒
印象でアルジネートを練和したり、石膏を流したりする場合、夏場だと温度が上がり硬化時間が早まります。アルジネートや石膏は車内に置いているので余計に温度が上がってしまいます。
夏場限定ですが、氷水を入れた水筒を携行したほうがいいかもしれません。
ただ、ナシでも素早く練るようにすればなんとかなるといえばなります。
台車
施設訪問があり、そこそこ人数を診ていて処置も幅広いということなら荷物を全部積めんで移動できる台車は活躍するでしょう。
持ち手の部分にフックなどを付けておけばかばんなども掛けられて便利です。
ですが、荷物を最小限にとどめるような場合には台車は必ずしも必要でないかもしれません。
バーナー
バイトの際などに必要なので、弊社の訪問では携行していますが、アマゾンなどで販売しているバーナーでも用は足ります。安いものであれば2000円もしない値段です。
タオル
訪問で患者さまの首に掛けるのは、紙エプロンではなくタオルが最適です。
座位で治療することも多いので、バキュームで吸いきれなかった水分が首元に垂れたり、認知がある方などは歯ブラシしているだけで唾液が垂れたりといったことも頻繁なためです。
うがいをしていただいたあと、ティッシュなど渡さなくてもご自身の首にかかっているタオルで口元を拭いていただけるのも便利です。
ただ、タオルにすると手間も伴います・・・帰院後の洗濯です。当然干す手間もありますね。
そういった手間を許容できるならタオルを多く持っていけばいいと思いますし、洗濯が負担であれば患者さまによって紙エプロンも併用してもいいのではないでしょうか。
膿盆
最近は100円ショップでも手に入りますが、お勧めがあります。
理想の膿盆 | 往診の作法。
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エアダスター
ユニットがあればシリンジのエアーで事足りるのですが、どの訪問先にも毎回ユニットを持っていくわけではありません。
たとえば、かぶせ物が取れたという訴えがあって再着が予想されるようなときには咬合調整時のエンジンや咬合紙とビトレマーくらいあれば事足りることが多いのでユニットは車に置いたままです。
ですが、やはり合着のときにはエアーがあればありがたい。そういうケースで手軽に使えるエアーダスターは重宝するのです。
ガス缶タイプのエアダスターはエアー圧も強くていいのですが、デメリットもあります。
匂いがあるので患者さまには多少不快を与えるかもしれないこと。
消耗品でもあり、割とガスがすぐ切れがちだったので、カメラ用のハンドブロアを使ってみたこともありますが、こちらは匂いは出ないもののエアー圧が弱い。
ですので、患者さまには一瞬ご辛抱いただいてエアダスターを使っています。
と、おもいつくまま挙げてみましたが、
細かいものを挙げれば切りがありませんのでこのくらいにしておきます。
訪問歯科を立ち上げるときには、様々なものを揃える必要があるので大変です。
材料や器具を入れる入れ物や容器などもたくさん必要ですが、100均とホームセンターにはかなりお世話になります。
私も提携医院の訪問歯科立ち上げの際には100均とホームセンターに入り浸りで、器具や材料、収納ボックスのサイズを測ってはお店に向かうを繰り返していました。
効率的に運搬でき、効率的に収納できるように必要なものを揃えることはけっこう重要です。
現場での仕事を効率よくこなせるかどうかにも密接にかかわることですもんね。
きちんと収納できていないと、
っと、なっちゃいます。
パンフレット
医院の訪問歯科アピールに欠かせないのがパンフレット(リーフレット)
これは弊社で使用している訪問歯科の訴求パンフレットです。
表をカラー、裏を白黒で印刷し、三つ折りにしたものを用意しています。
いくらデジタルな時代とはいえ、訪問歯科の対象者やそのご家族は高齢世代中心ですのでこういったアナログな媒体は好まれるもので、親和性が高いのです。
連絡先も記載してあるので、弊社訪問では初診時に患者さまやご家族に必ずお渡ししています。
外来の窓口にも置いておきましょう。
高齢になって通院が難しくなった外来患者さまの訪問へのシフトは、集患の施策のひとつになるのでそういったPRも重要です。
あと、ケアマネージャーさんが利用者さんに訪問歯科をご案内していただく際にパンフレットをご利用いただく事もあります。ですので、気軽に利用いただけるように医院のホームページにPDF化したパンフレットを設置して、リンクバナーから開いて印刷していただけるようにしておいてください。
もちろん、直接お会いする機会があればまとめてお渡しするのもいいでしょう。