居宅療養管理指導・現場のオペレーション

居宅療養管理指導
▼ 訪問歯科の営業活動にお悩みなら

在宅志向の訪問歯科総合支援ツール HomeClinic

訪問歯科をはじめようとする歯科医院にとっては馴染みのない介護保険の居宅療養管理指導。
算定にかかわる知識も大事ですが、実際の運用において気を付けなければならないことや意識しなければならないことは少なくありません。

今回はそこにフォーカスして記事を書いてみます。

目次

患者さまへの説明

訪問歯科の治療費にまつわる患者さまとのトラブルについて、多くは介護保険にかかわることです。
特に、外来であればかかわることのない介護保険ですので、サービスを提供する側である歯科医院側に知識が乏しいことも多くトラブルを招いてしまうことがあります。

居宅療養管理指導は通常の介護サービスとは異なる部分があるマイナーでわかりづらい介護サービスです。
患者さまはもちろんケアマネージャーさんにとっても馴染がないサービスであるがゆえ、より一層丁寧な対応が必要なのです。


トラブルを避けるにはやはり、
十分な知識と適切な説明が特に重要です。

雑な説明で済ませてしまうと、よくわからないうちによくわからない請求が上乗せされているという認識を持たせてしまうこともあります。
ましてや、しっかり説明したとしても、よく理解せず「わかりました」とおっしゃり、あとになって「これどういうことなの?」と疑問をぶつけられるケースもあり、またその都度1から説明するようなこともあります。


ですがポイントをしっかり押さえておきさえすれば、患者さまから不信感を持たれるようなことは防ぐことができます。
深くまで突っ込んで質問された場合でもしっかり説明できるほどの知識を持っておくことが必要です。
yui のかかわる訪問歯科では、初診時の患者さまやご家族(治療費の支払者)に対する説明と、文書による案内はルーティーン化していて欠かしません。
というより、そもそも居宅療養管理指導は患者さまの同意を得て算定されることが原則ですので、この説明を省いて算定することは不可能なはずです。
しっかりした説明を行ってサービス提供しているので、介護保険がらみで患者さんとトラブルになったり不信感を持たれることはまずありません。


以下にいくつかポイントを記載してみました。

  • 医療保険とは別の費用だということ

これは大前提ですが、ご高齢の方などで十分に理解していただくことが難しい場合でもまずは最低限このことからしっかりとお伝えしようと努めています。

  • 費用は定額で限度額があること

やはり患者さまが一番気にされるのは費用のことです。歯科医師分がいくらで歯科衛生士分がいくらでという細かな負担額もお渡しする説明文書にはしっかり記載していますが、患者さまの負担割合に応じた月の上限額は口頭でも必ずお伝えしています。
「介護分のご負担は月に何度訪問したとしても上限額以下の金額ですよ」は常套句にしていて、そう伝えることで安心していただけるはずです。

  • ケアプランとは別枠であること

居宅療養管理指導の説明をしたときによく言われるのが「介護サービスを限度額近くまで利用しているのでこれ以上介護サービスを増やせないんです」ということ。
居宅療養管理指導はケアプランとの直接の関係がない独立した介護サービスで、給付管理(支給限度額管理)の対象外のサービスです。
ですので「ケアプランとは別枠のサービスですので限度額の心配は無用です」とお伝えすれば安心していただけるはずです。

  • ケアマネージャーの関与なしでも利用できること

在宅の方の受診依頼はケアマネージャーさんからいただくこともあれば、Web経由でご家族から直接ご依頼をいただくこともあります。
ご家族から直接ご依頼いただいたケースで申し込み時や初診時に「ケアマネさんには受診することを伝えていないのですが、言っておいた方がいいですか?」と聞かれることがあります。
居宅療養管理指導はケアマネージャー主導でサービスの利用が選択される通常の介護サービスとは異なり、医療機関主導でサービスの利用が判断、提供され、基本的にはケアプランへの組み入れも不要のサービスです。
そういう意味ではケアマネージャーさんの関与なしであっても利用できるサービスではあるので(歯科医院側からの情報提供は必要)、受診前に必ずケアマネ―ジャーさんへ連絡してケアプランに組み入れてもらうというプロセスは不要です。
どのみち医院からの情報提供で受診することは伝わるので、患者さまに対しては「ケアマネさんに連絡していただかなくても大丈夫ですが、もしお話しすることがあるようなら受診することになったとお伝えください」とお話しするようにしています

  • 説明文書をお渡しする

費用については口頭でも要点を絞って説明をしますが、居宅療養管理指導のご案内は文書でもかみ砕いた内容を記載してお渡ししておく方が無難です。
提供が必須である重要事項説明書とともに、「介護保険適用についてのご説明」という文書を必ずお渡しするようにしています。
医療保険とは別の費用であること、サービスの内容、費用(歯科医師分・歯科衛生士分の算定額と月の上限額)、ケアプランとは別枠であることなどをA4用紙1枚に図示も含めて収めた形で文書にしています。

居宅療養管理指導の説明図


口頭での説明もそれをご覧いただきながらポイントを指し示しつつ説明しています。

  • マル福やマル障のある方

これは要注意です。
なぜかというと、マル福やマル障をお持ちの方は通常医療機関の受診に費用がかかりません。
ですので、訪問歯科を受診される際も無料であるはずだという先入観があるかもしれないからです。
居宅療養管理指導の算定があると当然費用の負担が発生することになるので、受付の段階でマル福やマル障をお持ちの方だということが分かれば、その時点で居宅療養管理指導のことについてもあらかじめ簡単にお話ししておくようにしています。

重要事項説明書

介護サービスの提供に際して、重要事項説明書を利用者さまに提供してサービスの説明を行い、提供の同意を得ることが義務付けられています。

居宅療養管理指導についても「介護サービス」になりますので重要事項説明書の提供が絶対に必要です。

重要事項説明書は歯科医院の事業者概要やサービス提供体制などを記載したものです。作成するのは手間かもしれませんが、作成してしまえばあとは体制の変更があれば一部を修正するのみで済みますので必ず作成して下さい。
yui のかかわる訪問歯科では、サービス提供への同意署名を最終ページに設け(上半分が利用者保管用の署名欄で下半分が医院保管用の署名欄)、説明のあとに同意署名をいただき切り取ってカルテとともに保存しておくようにしています。

重要事項説明書

ケアマネージャーさんへの情報提供

情報提供と担当者会議

ケアマネージャーさんへの情報提供も算定の要件とされていて必須です。

担当者会議への出席とまではいかないかもしれませんが、少なくとも情報提供書の送信や郵送は必要です。


もちろん算定要件である以上、居宅療養管理指導を算定すれば情報提供は必ず行う必要のあるものです。そういう観点からは、情報提供は「手間」となってしまうのは事実です。

ですが、適切な情報提供が行われることは患者さまにとっては有益です。

さらに、声を大にして言いたいのは、
ケアマネージャーさんとのコミュニケーションのひとつである情報提供自体が集患に結び付く有益なものであることも医院としてよく意識する必要があります。


この記事でも書きましたが・・・
何かのきっかけで得たケアマネさんとの接点。
集患のためにその接点を活かす手段のひとつが情報提供であり、
情報提供は「手間」ではなく、得がたい「機会」ととらえるべきなのです。

ですので本来情報提供は歯科医師分の居宅療養管理指導を算定したときにだけ行えばいいのですが、yui のかかわる訪問歯科では、算定していない診療の際にも診療報告として情報提供を積極的に行っています。
それはやはり、情報提供がわれわれにとって手間を上回るメリットだと捉えているからに他なりません。


とはいえ情報提供の数が増えれば業務の負担になるのは事実です。
手前みそですが、弊社の提供する訪問歯科総合支援ツール HomeClinic であればメールやFAXを活用した効率的な情報提供が可能です。

ケアプランとのかかわり

「居宅療養管理指導は居宅サービス計画書への位置付けの必要があるのかないのか」
つまり、ケアプランに組み入れる必要があるのか?

この疑問について、時折ケアマネージャーさんからご質問いただくことがあります。

結論を言うと、組み入れる必要はないのですが、これについては弊社ホームページ上でも詳しくご案内しています。
〉〉居宅療養管理指導はケアプランに記載が必要?

このトピックは疑問を持たれる方が非常に多いようで、実はこのページは弊社サイト内の全ページの中でもっとも閲覧数が多いページになります。

患者さまの担当ケアマネージャーさんには、このページに記載した内容を端的にまとめた書類を初診後に郵送するようにしています(これもケアマネさんとの接点を活かす手段のひとつです)


居宅療養管理指導であってもケアプランに組み入れなければならないと思われているケアマネさんから介護サービス計画書を送っていただくこともあります。
ケアプランに組み入れる必要はありませんが、組み入れることも問題があるわけではないので間違いではないのですが、送っていただかなくても大丈夫ですと伝えて差し上げてもいいのかもしれません。

介護保険証の確認

居宅療養管理指導を算定する場合、初診時に介護保険証を確認する必要があると思います。

在宅の患者さまの訪問でよくあるのが、
確認しようとしても、「どこにあるのかわからない」というケース。
医療保険証は比較的大事に保管されていることが多いですが、介護保険証はそうでないことも少なくありません。

さらに、介護保険証はあるのに負担割合証はないというケース
基本的に負担割合証は負担割合さえ確認できればそれでいいので、ご家族などが負担割合をしっかり覚えている場合ならそれで事足りますが、記憶があいまいであったりすることもあれば、医療保険の負担割合と勘違いされているような場合もあります。

こういった場合にはケアマネージャーさんの方に確認した方が無難かもしれません。


区分変更中である場合もあるので注意が必要です。
そういった場合には返戻となってしまう可能性が高いので、区分変更が完了したら必ず連絡いただくようお願いしておくといいでしょう。




急に負担割合の変更がある場合があります。
変更があったのに知らせてもらえず、実際とは違う負担割合で請求していて返戻になり発覚するというパターンはたまにあります。
これは避けようがないかもしれませんが、医療保険の方の負担割合が変わったときには要注意です。同時に介護保険の負担割合も変更されることが多いからです。


▼ 訪問歯科運営を強力支援

在宅志向の訪問歯科総合支援ツール HomeClinic
  • URLをコピーしました!
目次